沖縄を楽しむ時の醍醐味といえば、沖縄の郷土料理を楽しみにしている人も多いのではないでしょうか。独自の文化が発展した沖縄には、独特な郷土料理も多く根づいています。「ゴーヤチャンプルー」や「ラフテー」など全国区となっている郷土料理と共に、沖縄固有の在来豚、アグー豚の名前も聞いたことのある人が多いのではないでしょうか。そこで今回は、アグー豚の魅力や特徴、美味しい食べ方を紹介します。
沖縄固有の貴重な在来豚、アグー豚とは？
まずは、アグー豚がどのような豚なのかお話ししていきましょう。
アグー豚の歴史とは？
「アグー豚」は、沖縄県固有の希少性の高い在来豚です。アグー豚の歴史は、およそ600年前にさかのぼります。1385年頃に中国から琉球王国に輸入され、沖縄で独自に生育された島豚は、戦前まで一般的に食べられていました。ところが戦後の混乱のさなかに数が激減してしまうのです。アメリカの影響を色濃く受けた沖縄では、成長の早く大型の西洋豚が大量に導入され、品種改良が盛んに行われたのです。発育の遅く体も小さい島豚はどんどん激減していき、西洋品種と交配されて雑種化が進んでしまいました。
そのように絶滅寸前だった島豚について1981年に調査したところ、やはり約30頭しか発見されませんでした。その中の18頭について約10年もの歳月をかけて戻し交配することで、少しずつ数を増やしているのです。そのように努力の末に復元された豚こそが、現在の「アグー豚」というわけです。
アグー豚の飼育方法とは？
一般的な豚が一度の出産で子豚を10頭前後産むのに対し、アグー豚は一度に5・6匹しか生めません。しかも妊娠期間も、一般的な豚の2倍ほど長く、約1年かかり成長スピードもゆっくりです。生まれたてのアグー豚には穀物と粉ミルクを混ぜた飼料、成豚になると天然サンゴ化石の粉末や泡盛のもろみかすなど混ぜ合わせた飼料を与えるなど、飼料にもこだわって育てます。
このように、生育のために時間もコストも多く費やさなければならないアグー豚は、希少で貴重な存在だといえるでしょう。
アグー豚はどのような豚？
皆さんの想像する豚と比べて、アグー豚は見た目が大きく異なるはずです。西洋品種の豚が体重200kgから300kgなのに対して、アグー豚は成長しても110kgほどにしかなりません。体長も短めで毛並みは黒く、足は短く太めです。
アグー豚の特徴・魅力とは？
ここからは、食用豚としてのアグー豚について、特徴や魅力を紹介していきましょう。アグー豚の肉質は他の豚肉と比較して、次のような特徴が挙げられます。
・他の豚に比べてコレステロールが4分の1以下
・やわらかな肉質
・臭みがない
・豊富なビタミン1（アミノ酸）
・脂身が美味しい
・グルタミン酸（旨味成分）が2.5倍
豚肉が苦手だという人も、臭みがないのでアグー豚なら食べられる人も少なくありません。また、コレステロールが一般的な豚肉の4分の1と少なくヘルシーで美容効果も高く、女性人気の高いのも納得でしょう。
アグー豚の美味しい食べ方とは？
グルタミン酸が豊富に含まれていることで脂身にもコクがあり、甘みのあるアグー豚は、素材を生かした次のようにさまざまな調理法で美味しくいただけます。沖縄では、豚は「鳴き声以外はすべて食す」といわれるほど豚肉を大切にする食文化もあることから、アグー豚の料理もバラエティ豊富なのでしょう。
ステーキ
やわらかでジューシーなアグー豚を堪能するなら、ステーキが断然おすすめです。厚く切ってもやわらかなアグー豚は、まずは高温で焼き目をつけたらじっくり低温で焼き上げれば、よりしっとり仕上がります。
ウィンナー
脂身まで美味しいアグー豚は、ウィンナーに加工しても美味しいと評判です。あふれる肉汁と歯ごたえの良さが癖になる美味しさです。お酒との相性も抜群でしょう。
しゃぶしゃぶ
脂身と旨味のバランスが抜群のアグー豚は、しゃぶしゃぶで食べるのも人気です。
ラフテー
アグー豚の豚バラ肉は、沖縄の郷土料理の1つである豚煮込み「ラフテー」に最適です。トロトロに煮込まれたラフテー肉は、口の中でとろけてしまうほどです。
その他
やわらかさとしっかりした甘みと旨味のあるアグー豚は、とんかつやすき焼きなどあらゆる豚肉料理に活躍します。とんかつにはヒレ肉やロースが合うでしょう。沖縄の有名な郷土料理であるチャンプルーにいれれば、アグー豚のエキスが絶妙な出汁となって、コクが深まります。
まとめ
アグー豚は、アグー豚を愛する人々の努力によって絶滅の危機からよみがえった希少性の高いブランド豚です。丹精込めて育てられた、甘みと旨味の強いやわらかなアグー豚を、ステーキをはじめさまざまな料理で楽しみましょう。
「郷土料理めんそーれ」は、那覇市にある郷土料理の店です。アグー豚のステーキも名物料理の1つです。アットホームで沖縄らしい雰囲気の中、沖縄のお酒ともに沖縄の郷土料理や沖縄の幻の黒豚、アグー豚のステーキを堪能ください。ご来店をお待ちしております。
